言葉でグサ!アメリカ在住アジア人が語る、心に残る人種差別経験談

「Tora Tora Tora〜!!!」

!!?? ....  いきなりなんやねん〜!!?? 

トラトラトラは、太平洋戦争の始まりである日本軍の真珠湾攻撃が奇襲により開始されることを伝えた電信の暗号略号である。意味は「ワレ奇襲ニ成功セリ」

引用:トラトラトラ - Wikipedia

 

今でも忘れる事はできない、

時は2013年位、私は某アメリカ会社のIT部門でシステムアドミンとして働いていた。

直ボスはアメリカの南部州からきた白人、この方は私が入った数ヶ月後に雇われた。

IT部門を全体的にまとめるVPレベルで雇われた方であった。

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ちょっと話た感じ、前の会社で日本にも出張で数回行ってたらしく、アメリカ南部の独特なアクセント、仕事ではアメリカン的なガツガツなハンドルの仕方が目立っただけで、グローバルな感じの方でした。

 

別に違和感とかは感じませんでした ... 

.... っと思った ...  ある日のことです ... 

 

毎週一回行われる、IT部門の進捗会議に参加するため、

そのボスの部屋に入った瞬間、ボスがいきなり ....

 

「Tora Tora Tora~!!!」っと一言 .... 

 

何いきなり言ってるのか分からなかったので、

私は英語で ”Come again?”  // 「何?」っと聞き直した。

彼は "Oh, Nothing" //「別に」っと言った。

 

ここで注意ですが、私は日本で生まれ育ったアジア人です。日本は母国と見做しています。両親は戦後アジアで出生、私は昭和50年代に関西で生まれてきたんで、戦争のことは教科書で学ぶぐらいの知識しかありません。

 

頭の中で、「こいつ何言っとん」っと思ってたんですが、

そんな会話中に同じIT部門の同僚がどんどん入ってきて、

話が流れ、普通の会議に入っちゃいました。

 

本当に5秒もない一方的な会話だったんですが、今でも忘れられない。

 

何故かと言うと

あれは一種の人種差別

だったからです。

っと自分は思ってます。

 

「おまえ、被害妄想が強いんちゃう?」っと言う人、

人それぞれ感じ方が違うんで... ま〜先に進んでください〜

 

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今、2020年の6月現在、アメリカではほとんどの州でコロナ外出禁止令が緩和されたと思った途端、いきなり夜出歩いてはいけない別の外出禁止門限が多くの州で課された。

理由はもちろん、黒人のジョージ・フロイド氏が白人警察によって過剰に頸部を膝で押さえつけられ亡くなった事件に対しての反人種差別、警察による過剰暴行に対するプロテストだ。

 

「Black Life Matter」「BLM」の看板、ポスター、落書きをする人。高速道路やシティーホール、繁華街を人の壁で遮断し、「BLM」「Against Police Brutality」を発する人たち。

2020年、コロナ感染、外出禁止令、それに続いてこのプロテストでアメリカが狂ってきている。この暴動はアメリカだけではなく、全世界にも影響しつつあり、日本でも人種差別に対してのデモが日本時間の6月14日に渋谷であったそうだ。

日本は基本差別が少ないと思っているかもしれないが、最近は外人労働者数が増えているため、何かしら差別を受けている方々もいるであろう。

www.youtube.com 

私達夫婦はまだアメリカ、シリコンバレーに住んでいる。ここカリフォルニアは人種的にはすごくミックスで逆に有色人種の方がマジョリティーであるが .... 

このデモがある最中、外に軽い散歩、買い物に行く時、コロナのせいもあるかもしれないが、人とすれ違う時、何かしら警戒心をもって避けようとしている、家族を守ろうとしている自分..... 

こんな時世、私は以前経験した差別を思い出してこの記事を書いてます。

.... 

...

..

.

「Tora、Tora、Tora」と言われた時、俺は若かった。

そんなに何も深くは思ってなかった。

自分が差別を受けている、だなんて、考えもしなかった。

ただ、年数が立つにつれて、忘れられない。

自分自身日本人でもないのに「とら、とら、とら」っと言われ、

忘れられないのは何故だ?

 

人生、年と経験を重ねるとわかってくる。

妻に「なんで日本人でも無いのに気にするの?」っと言われると、

それはもちろん気になります!確かに私は日本人では無いです。

ですが、日本生まれ日本育ちのアジア人です。

「日本に誇りを持っているのだったら気にするのは正しい」

では無く、私がここで言いたいのは、

その軽い気持ちで言った行動こそが、

まさに「人種差別」だった

ってことです。対日本人、対亜細亜人、対XXX人の話ではないです。

人種差別を経験したことに対しての話です。

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どんな気持ちで彼は言ったのであろうか?

頭の裏では何を考えて言ったのだろうか?

私の仕事パフォーマンスに文句??

格好? 容姿? 肌の色????

「日本人、アジア人、黄色人種」.... 

  「自爆やろう」.... 

    「お前たちが起こした戦争だ」...

っとか思っているのでしょうか?

考えすぎ?

.

..

...

ちょっとあとですが、アメリカ人の友達に聞いた時、教えてくれました。

極端に言うと日本人を「JAP」と言うのと同類系の差別用語らしいです。

... 

..

.

この発言の前ですが、彼の家にバーベキューに誘われた時だった、

家に入った途端、南軍旗、コンフェデラルの旗が玄関の真正面に飾られています。

... あたかも訪れている我々に見せ付けるかのように...

 

この南軍旗を象徴する意味とは... 

奴隷制や有色人種差別を正当化する人々のシンボル

です。

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彼の立場からすると先祖代々引き継がれた「誇りある旗」だと思います。 

多分子供のころ、色々な話をお爺さんや、お父さんから聞いたかもしれません。

どの家族でも一緒ですが、言ってみたら家族代々、人種に対する価値観をうっすら教育、コーティング、洗脳されたと思います。

 

時は2013年、彼は彼なりに現代社会人として多人種国家での雇用差別法に反しないようにアメリカで共存する多々人種に対する努力はしていたとは思います。

ただ、気軽にあのような言葉を発することができるのは、やはり、価値観、育ち方、教育が偏っていたとしか思えません。何かしらアジア人を軽視している、日本人に対して悪意を持っているのでは?

偏った上でのアジア人、日本人に対するあの一言であったとしか思えないです。

 

間違っていたらすみません、

私の考えが偏っているかもしれません。

 

私は彼に対して恨みなどはありません、私にあんな言葉を発するぐらいの人です。歴史教育、育ち方、価値観うんぬんの問題ではないです。

 

多分、彼に私側の経験を伝えて、私は「日本人ではないですよっ」と言っても、「おまえらアジア人みんな同じじゃい〜」と言うような人なので.... 

人間として「あちゃー」っとしか思ってません。

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No Respect for Other Human Being

 

勤め先のボスとしては尊敬してました .... 

  同じ人間としては尊敬のかけらもありません  ....

 

私は日本で生まれた外国人。小さい時から教育は色々な方向から受けています。親には自分の国籍をあまり人に知らせたらあかん!とか、母国語を人前で話さないように!とか、小さいころ、訳わからんルールが有り、なるがまま日本・アジアン教育、洗脳されてました。

彼と一緒です。教育、育ち方は何かしら偏っています。

ただ、私は日本の学校にも通っていたので、両方の視点、観点から学ぶことができました。ですので母国、日本について、同じ歴史なのに違った物語があることも知ってます。

  日本の焼き餃子も好きだし、中国の水餃子も好きです。

  日本のカレーも好きだし、インドのカレーも好きです。

  タイカレーも好きだし、マレーシアンカレーも好きです。

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ただ基本、肌の色、宗教、国で人を差別をすることは「絶対するな」と教育受けています。

まさに「パンダになれ!」的な教育を受けました。

 

「Be like Panda!

    He's white, he's black and he's Asian!」

 

実際にスキンカラーで差別を経験したのはアメリカに来てからです。

色んな所で経験しました。

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ニューヨークのメトロの中で、いきなり、若者達に「Fried Rice」とか「Nasty Sushi」とか言われて「バカだなー」っと思ってました。悪意のある発言ですが、その若者達を見て、まだ何も学んでない若者と判断し、温厚な「パンダ」になり、平和主義を保ってました。

 

アメリカではそれが日常茶飯事ではないですが、当たり前のようにあったのであまり気にはしてませんでした。

 

日本の会社では「差別」ほどではないですが、やはり日本人のアジア人に対しての軽視を感じられます。会議中でも見下されている感覚はたま〜にありました。

もちろん人やグループによります。全員が全員ではないです。

私が気にせずに働いているとだんだん打ち解けてそれが無くなって来ることがほとんどです。

ですが私はそれがあったことは忘れられません。いくら打ち解けて、仲良くなったとしても、あなたはそのような人だったと頭のはしっこで思ってます。あなたと会話する時、自分を防御モードに入れています。

 

発言したご本人、そのような態度をとったご本人、

気がついていないかもしれませんが、ありますよ。

気がついていたら... それはそれで... 故意的であるしか思えないです。

 

ただ、やはり悪意がある言葉って心に残ります、一生。

何故かと言うとその言い方に「殺意」的なものがあるからです。

そうです、あの心に「ぐさっ」って感覚... 

本当に感じるの知ってましたか?

自分が差別を受けたっという感覚は大体あってます、感じます。

ですので忘れることは一生できません。

 

なら、その人に直接対面して「差別的な発言をやめろ」とか言ったら良かったのではないと思うかもしれません。その時は仕事場でしかも相手がボスだった、しかも自己の忍耐も強かったのでそこでは言いませんでした。

「今そう思っているのであれば連絡して話したら?」 

それも思わない、なぜなら、向こうに悪意があったのかはこっちが勝手に考えている、一方的な「妄想」であったかも知らないから。

言及しても自分のためにはならない、正当化しようとしているだけだから。

 

ただただ、この経験があったことは忘れずに、この経験から学んだことを自分に役立たせて、今後また起こったらどう対応するか、自分の子供にどう教育するかの糧にすることは間違いありません。

 

今年2020年、日本人の妻と日本人ではない私はいつか子供を作りたいと思ってます。その子供はもちろんハーフになります。

純日本人ではなく、ハーフ日本人のアジア人になります。

 

アメリカで育てるのであれば「アジア人」として育てます。

アメリカではもちろんのこと、人種差別を経験する可能性はあります。

日本で育てるのであれば、外見は区別つかないですが、もちろん「ハーフ」として育てます。純粋な日本人でなければ、それはそれでいじめに遭うかもしれません。

 

アジア圏内、アジア人同士でも差別がある時世なので、

どこに行っても何かしらの「差別」は避けることはできないでしょう。

 

でも一番子供にわかってもらいたいのは人間はみんな一人一人違う、肌の色も違えば属する国も違い、習慣、宗教、貧富、育ち方、色々な人がいるけど、みんな同じ人間なんだよって言って育ててあげたい。

 

肌の色、外見、宗教、育て方が違う人を見て、その人をすぐにジャッジするのではなく、その人の背景を学びたい、その人の過去、先祖、存在を学んで、その人の「違い」を尊敬する人に育って欲しい。

 

「とら、とら、とら」と言われたら、

「パンダ〜」っと言い返して、笑顔を返せる人になって欲しい〜

 

色々「小さな差別」を受けた私から、

まだ生まれてない子供に対する私のささやかな一言です。

 

人を人として尊敬する人に育って欲しい... 

 

ほなね〜