【妻が涙】ITエンジニアが目撃したリストラの裏側

コンチワ、シロ熊です。

2020年、4月1日現在、アメリカでは新型コロナ感染の影響でレストランなど、中小企業が暫定閉店、完全閉店、倒産が起こっています。直面する経営者も大変ですが、この影響でスタッフ、社員などもリストラ、解雇されています。

先週、2020年の3月末で全米では失業者数が累計300万人*に達し。今後も失業率が通常の約3.5%から30%まで飛び上がる残酷な状態になると予測されています。

*速報!4月一週目のアメリカでの失業者累計が600万人に達した!

その反動でアメリカ政府は納税者に一人あたり、約$1,200ドルの現金給与を与えると議会で調整を続けています。

このコロナ感染の最中、会社でリストラ、解雇、レイオフされている現状であるアメリカで俺が今できることは仕事をせっせと探すこと意外は俺の経験を語ることが出来るので、ここで発信したい。

俺もアメリカに住んでいるのでリストラ、解雇、レイオフの経験が少しは有る。

今日語る話はその一部。2008年に仕事場で起こった出来事です。

#しごとの思い出

今日のあなたの仕事は電話待ち... 

時は2008年、私はバージニア州で某アメリカのメディア関連の会社でIT部門のシステムアドミニストレーター (System Administrator) として毎日ヘコヘコ働いていました。日本語は全く使わない会社でした。

8:30 AM 出勤

朝、いつも通り8時半ぐらいに会社について、さ〜今日も頑張ろ〜っと思ってました。ふとITの大ボスのオフィスを見ると、何故か知らないが、いつも9時に来るボスがもう来てる。今日は早いな〜っと思ってました。

俺はこの2008時点ではこの会社で2年目、社員も80人位から130人位まで膨らんでいて、会社の調子も絶好調なように見えました。

毎日俺も新入社員ようのコンピューターをイメージ、設定、アカウント、デスクの設定などで忙しかったです。

......

......

この日は特になぜか知らないですが、オフィスに入った時の空気がどんよりとしてました。

8:45 AM

いつもは9時にITのメンバーで朝会議をしますが、8:45分位、みんなまだ揃ってないのに、そのITの大ボスに呼ばれ、人事のオフィスに行くぞ〜って言われました。

「は〜?なんで?朝会前やのに〜」っと思いつつ、大ボスと人事のオフィスに行きました。

人事トップに「座って下さい」と言われた。

正確には "You might want to sit down for this..... " 

「座った方がいいよ... 」

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なんか重い...

首にされるのかなっとふと頭の裏で思って、心配してました。

その直後、人事のトップに言われたこと、未だに覚えてます。

「今日、9時15分から三十人解雇する、シロ熊はデスクで電話待ちして欲しい、私から(人事トップ)電話したらすぐにその人のアカウントをロック、無効にして欲しい」... っと言われました。

..... 

頭の中は真っ白でした。 「は〜っ」... 

その間に人事とITの大ボスは「景気が悪い、会社に負担がかかっている、売り上げがなんちゃらカンちゃら」と言っていたが、言葉が全て、「むにゃむにゃ〜ムニャムニャ〜」としか聞こえない。頭は空っぽ〜

「マジで〜!?」

大ボスとITのオフィスに戻って入る瞬間、大ボスに肩を「ポンポン」っと叩かれた。

何故か知らないが寂しい気持ちになった。

しょぼん〜 ... 

9:00 AM

他のITの人達はその頃にはみんな出社して、普段通りにジョークなどかまして会話をしていた。俺も一応普段通り「Morning~」っと挨拶をして、席に戻った。

.... あえて「Good」は入れてなかった ... 

他のITの人達は楽しい会話をしていた。俺と大ボスだけ、ポチポチとコンピューターに向かってキーボードをたたいていた。

9時ちょっと、IT部門での朝会議をみんなで何もなかったかのように行った。

9:15 AM

9時15分、一本目の電話が来た、「Aさんのアカウントを無効にして」

.... 始まった ... 30人の解雇 が... 

毎五分、電話がなる...  Bさん、Cさん、Dさん、 E, F, G ..... 

9:45 AM

普段  私達IT部門ではチケットで仕事をハンドルする。電話はほぼ緊急の仕事の時でしかこ来ないので、十本目の電話の時にはIT部屋にいる人たちは目を見合わせて、「なんだ〜?」何か変だと察す。

その内一人が「何かあったのか?」と俺に聞いてくる。

ITのトップ2はすぐさま、ITの大ボスに入り、ドアを閉じる。

その間、他のITの人たちも俺に聞いてくるが私は一言...

「ちょっと今は忙しいから話せない」

1分後、大ボスが部屋から出てきて、みんなに一言、

「落ち着け、今、残念なことにこの会社でレイオフ、解雇が実施されている、シロ熊はアカウントを無効にする仕事を担当されているので、見守ってやれ」

その時のIT部屋の中の空気は激重、沈黙 ...

みんな目を合わせて、何も言わず、デスクに戻り、ポチポチとキーボードに戻った。

10:00 AM

空気が一段と重くなって、静かになっていくIT部屋... 

俺の電話だけが鳴り止まない.... 

... Jさん、Kさん、Lさん..... 

... 「了解、無効完了しました」ポチっ... 電話が消える音... 

ITの部屋からは外の駐車場を見ることが出来る、外には涙をしながら、車に入る人、電話をしながら手を頭に抱えて歩いている人。

段ボールを持って車でさっさと走り去っていく姿も見える。

朝の10時、出勤して1時間も立たない。

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IT部門のシニアーの人が「ブラインドしめとこっか」と言い、

みんな一斉に無言でブラインドを落とす。

残酷だ〜...  辛いな〜... 

電話が鳴り続ける .. 

アカウントの無効をハンドルする俺 ...

ポチっ ポチっ、クリックする。

10:30 AM

俺のパートナー、ジュニアシステムアドミンの(O太郎)がITの大ボスに呼び出されて大ボスの部屋に入った。

なんか俺の手伝いをさせるのかな〜?

コンピューターの回収やらなあかんしな〜っと思ってた... その時、

また電話がなった ...

人事のトップだ ... 

「O太郎さんのアカウント無効にして、これが最後」

俺は一瞬、「は?」っと聞き直した。

今、大ボスと部屋に入って話している俺のパートナーのアカウントを無効にしろって... 

マジかよ〜っと思いつつ、指示されて、O太郎のアカウントを無効にした。

俺には俺に命じられた仕事がある、みんなには言えない。

しょぼん〜 .... 

10:40 AM

その後、IT部屋にいるチームメートが、チョコチョコ大ボスの部屋を横目で覗いていた。

10分後、二人が出てきた。

めっちゃみんな緊張 ... 

O太郎は半泣き状態 ...  

大ボスがO太郎の肩に手を添えて、話始めた.. 

「今日は本当に残念な日だ、この会社で三十人が解雇されることになった。O太郎も解雇の対象になった。彼のパフォーマンスは関係ない、O太郎はみんなが知っているようにちゃんと仕事をするし、みんなにも頼りされている重要な人材だ。この解雇はIT部門にも影響があり、解雇の基本ルールに従って行った、*ラストイン、ファーストアウトだ .... 残念だが、O太郎には次の素晴らしい仕事に行ってもらうしかない。みんなサポートしてあげよう!」

*もちろん、会社によるが、アメリカでは解雇、レイオフの時はパフォーマンスが低い人もしくは最後に入った人、経験値が少ない人をさきに解雇するのが基本ルール。

一斉に拍手が起こって、一人一人O太郎と握手をして、涙を殺し、O太郎を見送った。

俺がいたIT部門で解雇されたのはO太郎だけだった... 

*その後、そのO太郎は別の会社に行って出世して、今ではITのディレクターになっているのでご心配なく!

10:50 AM 

O太郎を見送った直後、社長、人事のトップがITの部屋にトコトコ来て、扉をバタンっと閉めた。社長が一言、「サポート、ありがとう」っとひとこと言って出て行った。

人事のトップが今からの対処方法やその後の仕事内容などゴチャゴチャいってた... 誰も聞いてなさそう、皆んな頭の中、空っぽ。

「ありがとう」と言って去っていった。

11:00 AM

約、小2時間で30人のクビ切り、リストラ、レイオフ、解雇が終わった。

俺は解雇の対象ではなかったが、この日は人生で一番辛い仕事を経験した。

30人解雇のお手伝い。アカウントの無効化 ... 残酷だ ... 

 

12:00 PM お昼

昼はみんな静かにデスクで食べてた、ちょっとだけ励ましの会話がITの部屋であった。

皆んなポジティブに話す。

なんとなく皆んな苦笑い。

13:00 PM

昼過ぎて、皆んなあまりITの部屋から出ないようにしていた。俺も普段通りの仕事をリモートで出来る限りしながら、解雇された30人のアカウントの整理、裏で出来る片付けを淡々と済ませた。

解雇された人達のコンピューターの物理回収、整理はその人のデスクにいく必要があるので「今日やりたくない」っと俺はITボスに言った。

ITボスもそれを受け入れてくれた。

「明日でいいよ」っと。

17:00 PM 帰宅

ITボスからみんなに一言、

「今日はみんな早く帰れ、もしこの件で話したかったらいつでも話に来い、明日はいつも通り元気出して出勤しろよ!」

しょんぼり頭と肩を落とし、家に帰った。

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当時付き合っていた彼女にこの1日30人解雇のことをぶつぶつ話たら、彼女が英語で一言、

「  See, you not worthless, you survived the layoff !Good Job !  」

直訳すると、

「ほら、あんた、役立たずじゃなかったやん、解雇生き残って良かったね!」

なんとも楽観的な励ましだ〜

悲しいやら嬉しいやら〜

自分のことは自分で世話しろ!

この経験でじっくりアメリカの職場の実態を学べた。アメリカは終身雇用って考え方は存在しない。いつどこで解雇されるかは会社の成績次第。仕事探し、仕事をキープするのは個人の努力次第。

日本の会社では入ったら丁寧に育て上げられ、保護され、指導され、重宝される? 今ではそうはいかないのではないでしょうか?会社にばっかり頼ると本当の自分を見失って来ると思います。

結局、自分の人生は自分でコントロールする必要があるので、どの会社に入ってもその意識はした方がいいです。

この記事を読んで、まだ仕事を持っている人にお願いがある。

今勤めている会社に尽くす、会社のために頑張ろ〜と思うのは正しい。

ただ、会社から言えば、その今のあなたのポジションであなたが居なくなったらどうなりますか?同じことが出来る別の人で埋めるだけですよね?

あなたは単に会社の一つのコマでしかない。

であれば、自分を大切にしろ。

やりたいことを目指してそれを追っかけて下さい!

 

ヘビーな時期でのヘビーなトピックでした。

ほなね〜